こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。
突然ですが、今から約40年前、サラリーマンへの課税方法が自営業者に比べて著しく不公平だと、国を相手に裁判で闘った人がいたのをご存じでしょうか?
当時、私大の教授だった大嶋正さんは、給与所得以外に、本来申告すべき雑所得があったにもかかわらず、確定申告をしなかったため、税務署から無申告加算税などのペナルティを課されてしまいます。
そこで、大嶋さんは、この処分が、法の下での平等を定めた憲法14条に違反していると、国を相手に裁判を起こしたのです。
争点となったは、自営業者が事業所得を申告する際は、税金や人件費など、広く経費を計上して所得を減らすことが認められているのに、サラリーマンは、給与所得控除という枠の下、一律にしか経費計上が認められていないのは極めて不公平ではないかという点などです。
大嶋さんは最高裁まで争い、結局裁判には負けてしまいますが、その後、給与所得控除額の引き上げや、転勤に伴う転居などの支出を控除できる特定支出控除の制度が設けられました。
この裁判がなかったら、今日でもサラリーマンはもっと国に税金を搾り取られていたでしょう。
個人的な見解として、もしこの裁判で違憲判決が出て、サラリーマン(=給与所得者)に対する課税方法が抜本的に改められ、自営業者のように、きちんと経費を全額計上して、自分自身で自分の所得を確定申告する制度になっていたら、今の日本の姿は大きく変わっていたと思います。
このブログ*で何度も取り上げていますが、自分自身で納税し、納税者意識を高めることで、税制改革や年金、医療などの社会保険制度の変更にも、もっと敏感に反応できたはずです。
また、会社に税金を天引きされる源泉徴収もなくなることで、離婚など知られたくないプライベートなことを会社に報告する必要もなくなっていたでしょうし、会社も膨大なコストをかけて毎月源泉所得税を払う必要からも解放されていたでしょう。
当然投票率も上がり、今の政治家も裏金問題のようなおかしなことはできなかったはずです。
サラリーマンと自営業者との納税格差は今日でも依然残っていますが、政治家とその他一般国民との納税格差に比べてたら、微々たるものです。
大嶋さんがご存命なら、また裁判を起こしていたかもしれません。
*24年2月8日 『【源泉徴収】会社に知られたくない秘密』
*24年1月16日 『確定申告のススメ』