FP三宅金蔵のお金の学校

お金にジャマされない人生を

近所の個人商店がつぶれないワケ

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 突然ですが、皆さんのご近所で、高齢のご夫婦がやられている小売店金物屋など、小さな個人商店はありませんか?

 うちの近所にも、大手チェーンの大型スーパーの真横に、おじいちゃんと中年の息子さんがやっている小さな食料品店があります。

 お客さんもほとんど入らず、お世辞にもあまり儲かっていない様に見えるのですが、なぜ営業を続けられるのか、前から不思議に思っていました。

 その答えが、昨年亡くなった父親から不動産賃貸を引き継いだ母親の確定申告を今年行って分かりました。

 ズバリ、地元の地主さんで家賃などの不動産所得がある場合、赤字の個人商店が節税に大いに役立つということです。

 父親は亡くなる直前まで、半世紀以上、小さな卸売の個人事業を続けており、晩年はほとんど使わなくなった倉庫の一つを貸して家賃を受け取っていました。

 通常、家賃などの不動産所得は、税務署から<不労所得>とみなされ、人件費や経費の計上で利益を減らす事は難しいです。

 しかし、不動産賃貸と同時に行っている卸売りの個人事業で赤字が出ており、うまく不動産所得の黒字と相殺(=損益通算)できるため、税金はほとんど払っていませんでした。

 勝手な推測ですが、うちの近所の食料品店も、おそらく地主さんで家賃収入があるため、赤字のお店をやり続けることで、税金を減らしているのではないでしょうか。

 そういえば、マンション一棟貸しで脱サラした友人も、いつの間にか、M&Aコンサルティング事業を個人で始めていました。

 M&Aとは無関係な部門にいたので、不思議に思っていましたが、おそらく個人事業の赤字で、不動産所得の黒字を圧縮しているのでしょう。

 父親が亡くなると同時に、卸売りの個人事業は廃業したので、不動産賃貸を引き継いだ母親は、利益を減らす事ができず、今年はかなりの税金を支払うことになります。 

 高齢のため、今更大きな個人事業は始められませんが、小さなお弁当屋さんでも始めれば、うまく不動産所得を減らすことができるかもしれません。

 売れ残ったお弁当を自分で食べれば、食費の節約にもなりますし。

 ちなみに、所得税の計算では、不動産所得と損益通算できる所得は事業所得などに限られており、サラリーマンの副業の雑所得や株式の譲渡損失とは相殺できませんので、くれぐれもご注意ください。