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医療の大盤振る舞い、そろそろ限界?

 こんにちは。FPの金蔵(きんぞう)です。

 昨日付の日経新聞で、『大企業健保の赤字、過去最大6578億円 高齢者医療費重く』という記事がありました。

 主に大企業の社員で構成される全国約1400の健康保険組合の赤字が6千億円以上に拡大し、全体の9割が赤字になるとのこと。

 健保の支出の4割もの金額があてられている高齢者医療費が重くのしかかっている様です。

 現役世代の負担と言う意味で考えると、年金保険料と違って、健康保険料には、<上限>がありません。

 全国の健康保険組合が加入している健康保険組合連合会健保連) の発表によると、加入者の平均保険料率は前年度比0.05ポイント増の9.32%で過去最高になったとのこと。 

 自営業者などが支払う国民健康保険料も24年度から上限が2万円引き上げられ、年間106万円となっています。

 月当たりにすると、約8.8万円/月となっており、かなりの金額ですね。

 こういった現役世代の健康保険料の増加が止まらないのは、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度への現役世代からの支援金が歯止めなく増加しているからです。

 後期高齢者医療制度の費用は、公費(税金)5割、現役世代からの支援金4割、被保険者の保険料1割で賄われています。

 なんと医療サービスを受ける75歳以上の高齢者はかかる費用の1割しか負担していません。

 これはかなり高齢者への医療の大盤振る舞いですね。

(以下、厚生労働省HPの資料より)

 

 

 そういえば、今年81歳になるうちの母親も、おかげさまで至って元気ですが、歯医者にだけは時々通っています。

 昨年父親が亡くなって、代わりに貸店舗や倉庫の家賃収入を引き継いだ時、真っ先に気にしたのは、医療費の自己負担割合が増えないかということでした。

 というのも、ある一定の課税所得がある高齢者世帯では、負担割合が原則1割から、2割もしくは3割に引き上げられているからです。

 元々国民年金しか受け取っていなかったので、おそらく今年も1割負担のままだとは思いますが、それにしても1割負担で病院に行けるのはうらやましいです。

 しかも、日本の医療保険には、<高額療法費>というありがたい制度も存在しており、医療費の自己負担額が1か月に一定額を超えた場合は、その超えた分は高額療法費として健康保険から支給されます。

 例えば、70歳以上の自己負担額の上限は、所得が最も低い層で、1か月8,000円(通院のみ)となっています。

 こういった至れり尽くせりの制度になっているのは、今や全人口の3割を65歳以上の高齢者が占め、しかもその高齢者の投票率が高いせいです。

 

 上記のデータは、平成29年に行われた第48回衆議院議員総選挙の年代別の投票率ですが、何と70-74歳の投票率は74.13%にも達しています(全体の投票率は53.68%)。

 これだけの票数を持った世代に対して、医療費の負担増など、厳しい政策を打ち出すのは裏金問題でスネに傷を抱える政治家にほぼ不可能ですね。

 賃上げで給料が上がっても、健康保険料などの社会保険料の負担増で、手取りがほとんど増えない現役世代と、平均2千万円以上の貯蓄がありながら、低い自己負担で定額医療サービスを享受する高齢者。

 世代間の対立をあおる訳ではありませんが、抜本的に制度を改めてなければ、日本の医療保険いづれ崩壊するでしょう。

 厳しい現実ですが、保険料を負担する現役世代として目をそむけてはいけないと思います。