FP三宅金蔵のお金の学校

お金にジャマされない人生を

【異例】現役裁判官、国を訴える!

 こんにちは。FPの金蔵(きんぞう)です。

 最近読んだ新聞の中に、「津地裁裁判官が国相手に提訴へ」という面白いニュースがありました。

 大都市から津地方裁判所へ転勤を命じられた裁判官が、支給される地域手当が減ったため、実質的な報酬が下がったのは違憲として、国を相手に訴えるとのこと。

 一般企業のサラリーマンには少し分かりづらいと思いますが、訴えを起こす根拠として、日本国憲法80条第2項には、「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを<減額>することができない。」と定められています。

 法の番人たる裁判官は、立場上、政治家を始め、いろいろな所から圧力を受けるので、その経済的な基盤を守るために、こういった条文が憲法に定められています。

 更に、同じく憲法78条で「裁判官は、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことができない。」と、特別に身分保障もされています。

 今回訴えた裁判官によると、名古屋高等裁判所から、津地方裁判所へ異動になったことで、地域手当が減額され、実質的に報酬が3年間で計240万円減ったとのこと。

 裁判官に支給される地域手当は、基本給にかけて算出され、名古屋市15%、津市6%となっているので、年間80万円(240万円/3年)減ったということは、基本給がおよそ890万円ということになります。

 弁護士の平均年収が軽く1千万円を超えることを考えると、裁判官という重責を担う仕事にしては、少し安い給料かなと思います。

 今回訴えを起こす裁判官もこの点を指摘しており、裁判官の中には、地方に異動になって減給される時点で辞める方も多いそうです。

 ただでさえ成り手の少ない地方の裁判官の人材を将来的に確保することも、今回の訴えを起こす目的の一つだそうです。

  同じように人材不足に陥っている公立学校の教員に関しては、残業代の代わりに給与に上乗せしている「教職調整額」を月給の4%から10%以上とする案が検討されています。

 裁判官や教員も立場は公務員ですが、毎月給与をもらって働くサラリーマンであることには変わりありませんから、仕事内容と報酬が見合ってなければ、当然成り手は減っていきます。

 今回の裁判でどういった判決がでるか分かりませんが、裁判の勝ち負けに関わらず、地方勤務の裁判官の待遇改善に向けて、今後何らかの動きがあるかもしれません。

 そのきっかけとして、現役の裁判官として国を訴える異例の行動に出た勇気を心から応援したいと思います。