FP三宅金蔵のお金の学校

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厚生年金のワナ

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。 

 公的年金の2階部分にあたる厚生年金の加入対象者がどんどん拡大していますね。22年10月に従業員数101人以上の会社で働くパート・アルバイト等の労働者まで拡大されたばかりですが、24年10月からは51人以上の会社にまで対象が広がります。

 一般論として、公的年金の1階である国民年金に加えて、2階の厚生年金に加入できれば、老後の保障が手厚くなると言われますが、本当にそうでしょうか。

 

 ざっくり言うと、厚生年金に加入することによって、毎月支払う保険料は会社負担分と併せて、月給の約2割弱(正確には18.3%)。月給20万なら約4万円(会社負担分2万円+自己負担分2万円)となります。

 では受け取る年金額はいくら増えるのかというと、年間受給額=月給×5.481/1,000(約0.5%)×加入月数。つまり、仮に1か月だけ厚生年金に加入すると、20万円×0.5%=1,000円で受給額が年間約千円アップすることになります。

 

 つまり、4万円の保険料の元を取ろうとすると、40年(4万円/千円)年金もらわなければダメですね。65歳から受給できたとして105歳、そんなに長生きできるでしょうか。

 国はよく会社負担分の2万円を含めず、20年(2万円/千円)で元が取れると説明していますが、本来私たちが会社から給料として受けとれたお金が保険料に回っているだけですから、この説明にはムリがありそうです。

 

 結局のところ、少子高齢化の中で日本の年金制度を維持していくためには、現在の年金受給者(=トクする人)を支えるために、新たな厚生年金の加入者(=ソンする人)を増やすしか方法がないのですね。

 「厚生年金への加入=将来もらえる年金が増える」といった説明に安易に納得する前に、5.481/1,000という数字を知ることが大事です。これからもこういったファクトをどんどんお伝えしていきます。