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国民年金の憂鬱

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。 

 来年2025年に予定される次期年金制度改正で、国民年金の加入期間が延びることがほぼ決まりそうです。  

 具体的には、現在20歳から60歳までの40年間(480か月)の加入期間が、65歳までの45年間(540か月)になりそうです。現在65歳から年金受給が開始されることを考えると、受給開始のギリギリまで保険料を支払うことになります。

 

 国民年金の受給額(年間)の計算式は、現在は約80万円×(納付月数/480か月)となっていますが、将来的には、(約80万円+アルファ)×(納付月数/540か月)となるのでしょう。

 国としては、加入期間が増える分、この+アルファ部分も増えるので、受け取る額も増えますという説明をするのでしょうが、果たしてそうなるでしょうか。

 仮にベースがそれほど増えなければ、単純に480/540=0.8888、つまり約1割減ということになりますね。

 

 しかも、同時に受給開始年齢が現在の65歳から70歳に段階的に引き上げられた場合、受給額の減少プラス受給期間の短縮というダブルパンチになりかねません。

 そもそも日本の年金制度はあまりにも複雑で、現役世代でこの計算式を理解している方も多くはないので、こういった改正もすんなり決まりそうです。

 しかも、今や多数派となった、既に年金を受給している高齢者にとっては、全く影響なしという点も見逃せません。

 

 今の政府のやり方は、反発を招きやすい消費税の引き上げや年金受給額の引き下げよりも、一見分かりづらい社会保険料の負担増や年金の受給条件の変更など、ステルス的なものになりがちですね。

 日本の社会保険制度は破綻しないかもしれませんが、年金生活者という言葉自体が将来死語になるかもしれません。

 これからますます公的年金に頼らない自助努力が求められる時代になりそうです。