FP三宅金蔵のお金の学校

お金にジャマされない人生を

遺言書、一枚の紙が分ける運命

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 皆さんは相続という言葉を聞くとどんなイメージを持たれますか?

 巷であふれているのは、お金持ちがいわゆる『相続税』をいかに安くするかといった節税ノウハウですね。

 昨今では、生前贈与の加算対象が今年から、3年⇒7年に延びたとか、タワマン節税が封じられたとか、そういった制度変更に対する対策が次々講じられています。

 でも、相続には、残された財産の額がいかに少なくとも、残された遺族がそれをいかにうまく分けるかといった別の面も存在します。

 私の父は昨年亡くなりましたが、遺産をめぐって、兄弟間で争いが発生し、家庭裁判所の調停手続きに入る直前まで追い詰めれました。

 別に巨額の財産をめぐって、血眼の争いが勃発したとか、そういった訳ではなく、単に私の兄弟が遺産分割の話し合いを一切したくないと言い出したためです。

 現在の日本の法律では、故人の遺言書がない場合、残された遺族である法定相続人が、遺産分割協議で合意しない限り、遺産の最終的な帰属を決めることができません。

 つまり、相続人の一人でも、遺産分割の内容に不満がある等の理由で、遺産分割協議書やその他必要書類に実印を押さなければ、いつまでたっても、遺産は宙に浮いたままです。

 仮に慌てて銀行などに死亡連絡をして、口座が凍結されてしまった場合、一部例外を除いて、お金が一切引き出せなくなります。

 こんな悲劇を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか?

 ズバリ生前に、遺産の分割について自分で遺言書を残すしかないのです。

 日本にはまだ遺言書を書くといった習慣がなく、仮に遺言書を残すとしても、公正証書遺言といった非常に手間とお金がかかる方法がメインとなっているため、まだまだ一般的に浸透していないのが現状です。

 そこで、私がおススメしたいのは、自筆証書遺言、いわゆる本人手書きで白紙に遺言を残すといった簡単な方法です。

 全文を自分で書くこと、きちんと日付をいれること、氏名をフルネームで書くこと、押印することといった基本ルールさえ守れば、ちゃんと有効になります。

 3900円を払って、近くの法務局で預かってもられば、勝手に廃棄や変更される心配もありません。

 内容については、シンプルに一行か、二行で、「奥さんに全て相続させるとか」、「子ども二人に半分ずつ相続させる」とかでいいと思います。

 要は、残された相続人間で争いが起き、泥沼化して、いつまでたっても決着しないといった最悪の事態を避けるために、切り札を残しておくことが大事です。

 実際に書くとなると、内容について悩まれると思いますが、相続人間で多少の不公平があったとしても、長期間もめて関係が悪化するマイナスに比べたら、小さいものです。

 実際に相続問題を経験とした当事者として、日本に手軽で安価で有効な自筆証書遺言がもっと拡がって欲しいと切に願います。