FP三宅金蔵のお金の学校

お金にジャマされない人生を

不動産登記の限界

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 みなさんは、この4月から「相続登記」が義務化されるのをご存じでしょうか?

 両親がお亡くなりになった際、両親の土地や建物を相続したことを知った日から、3年以内に登記(名義)変更しないと10万円以下の罰金が課されるというものですね。

 

 私は、昨年父親が亡くなったため、自分で書類をそろえて、数十か所にも及ぶ田舎の土地や建物の登記変更を行いました。

 相続登記を実体験したものの感想として、ズバリ、手間がかかる、時間がかかる、お金がかかるの三拍子でした。

 ハッキリ言って、こんな面倒なことは誰もやりたがらないですね。

 仮に、司法書士などの専門家に頼むことにしても、かなりのお金がかかります。

 

 そもそも不動産登記は何のためにあるのか?

 それは、「第三者に対して自分の権利を主張するため」です。

 もし権利を主張したい不動産がへんぴな場所にあって、そもそも価値がないなら、登記することに一体何の意味があるのでしょうか?

 極端なたとえ例ですが、駅のゴミ箱に捨てる空き缶に名前をかけと言われている様なものです。

 

 国の建前としては、大規模災害時の復興の際に、所有者不明の土地があると復興が遅れるなどと、キレイごとを言っていますが、本音は土地や不動産からの所有者から固定資産税をしっかり徴収するためでしょう。

 ちなみに、父親の死亡届を市役所に提出すると、真っ先に市役所の資産税課から、「亡くなった方名義の不動産の固定資産税の通知書は今後誰に送ればいいですか」といった封書が届きます。

 固定資産税は何もしなくても税金を徴収できる、地方自治体の貴重な財源ですから、市役所もとりっぱぐれがない様に必死です。

 

 大きな疑問を感じるのは、市役所に新たな不動産の名義人として、固定資産税の通知書の送付先を知らせても、不動産登記を管理する法務局とは一切情報共有してくれません。

 でも、新しく家を建てて、法務局で登記したら、その情報はしっかり市役所に共有されて、翌年4月にちゃんと固定資産税の通知書が届きます。

  自分たちにとって都合のいい情報は、国と地方自治体の間でもしっかり共有する、でも自分たちの必要のない情報は国民に手間をかけて別々に報告させるといった姿勢に大いに疑問を感じます。

 

 少子高齢化が進み、地方がどんどん空洞化する日本では、都市部を除いては、不動産登記のメリットは皆無です。

 しかも、そこに高額な固定資産税の負担というマイナスが発生するなら、なおさらです。

 国としては、今回の相続登記の義務化で、所有者不明の土地が増加する流れを止めたいのでしょうが、人口減少の流れを止めない限り、いずれ不動産登記の制度自体が破綻することは明らかだと思います。