FP三宅金蔵のお金の学校

お金にジャマされない人生を

あなたのふるさとはアマゾンですか?

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 アマゾンが来年春にもふるさと納税へ参入することを決めました。

 サービスの名称(予定)は、「アマゾンふるさと」。

 アマゾンの熱帯雨林が<ふるさと>になる日本人っているのかと思わず笑ってしまいました。

 というか、ついに外資大手が参入するに至って、制度が出来た当初の趣旨から、どんどんかけ離れていく姿に半ばあきれています。

 そもそも、2008年にふるさと納税の制度が始まった趣旨は、「医療や教育など、さまざまな住民サービスを受けて育った地方の自治体(ふるさと)を離れ、都会で働き、その地で納税している多くの人が、ふるさとへ自分の意志で恩返しするため」というものでした。

 しかし、その寄付先が納税者が生まれ育った<ふるさと>に限定されなかったことで、官製ネット通販として、間違った方向で大きく市場が拡大してしまっています。

 現在、仲介サイトに掲載された豪華な返礼品に引き寄せられて、自分の<ふるさと>とは全くかけ離れた地方の自治体へ寄付することがすっかり定着してしまいました。

 マイナンバーカードを使って、コンビニで戸籍謄本の写しも簡単に発行できる時代ですから、税務署も納税者の戸籍(ふるさと)を簡単に把握できそうなものですが。

 今更ですが、制度本来の姿に戻って、本当の自分の<ふるさと>へ寄付する正しい形へは戻せないのでしょうか。

 更によく指摘される制度の欠陥は、間に入る仲介サイトの手数料が高すぎて、寄付した金額の半分ほどしか、寄付先の自治体の手元に残らないことです。

 返礼品を提供する地場の企業に寄付金の3割のお金が入るのはいいとして、その自治体からはるか遠く離れた仲介サイトに2割もの多額の手数料が落ちています。

 日本全体でみると、本来多くの都市部の自治体に入るべき税収約1兆円の内、約2千億円が民間の仲介サイト大手4社の売り上げになっている様です。

 現在は、多数の人口を抱え余裕があることから、制度を甘んじて受け入れている都市部の自治体も、いづれ来る都市部の人口減の時代には、反対の声を上げるでしょう。

 制度の趣旨自体が当初からねじ曲げられている以上、制度の存続性も怪しく、いづれは廃止されてなくなるでしょう。

 後から振り返れば、日本の税制の歴史に、意味の分からない、おかしな名称の減税制度として名を残すことになりそうです。

 敢えて制度の良い点を挙げてみると、納税者が節税のために自らアクションを起こすことを定着させた点でしょうか。

 ただでさえ、税金や社会保険料は増えるのに、給料は増えない時代ですから、ふるさと納税を利用して、少しでも税金を取り戻そうとすることには意味があります。

 

 以前のブログ*でも書きましたが、できれば、ふるさと納税利用の際は、確定申告の手間が省けるワンストップ特例を利用するのではなく、e-taxで一度確定申告をすることを強くおススメします。

  前年の源泉徴収票を片手に、支払った社会保険料、給与から天引きされた源泉徴収税の金額を画面で入力すれば、その額の多さをリアルに感じられるはずです。

 国は、大多数のサラリーマンにそこに目を向けて欲しくないため、源泉徴収という戦時下での徴収制度を現在まで続けている訳ですから、その呪縛から自ら解き放たれるべきですね。

 あと、ふるさと納税を確定申告するメリットとして、寄付した金額マイナス2千円が直接自分の銀行口座に振り込まれる点も大きいです。

 ワンストップ特例制度では、天引きされる翌年の住民税が勝手に減るだけですから、税金を取り戻した感覚が全然違います。

 また、ふるさと納税の確定申告は、正確には還付申告といって、確定申告の時期に限らず、ふるさと納税を行った翌年1月1日から<5年間>できます。

 確定申告で税務署が忙しくなる2,3月前に申告すると、1,2か月程度ですぐにお金が返ってくるのでおススメです。

 

 以上、大きな矛盾と欠陥を抱えるふるさと納税ですが、納税者として、使えるものは何でも使って税金を少しでも取り戻すことは大切です。

 今年のふるさと納税からは、ぜひe-taxを使った確定申告(還付申告)で、自分の手で、給料から天引きされた税金を取り返す喜びを感じてもらえれば幸いです。 

*2024年1月16日 『確定申告のススメ』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e7%a2%ba%e5%ae%9a%e7%94%b3%e5%91%8a%e3%81%ae%e3%82%b9%e3%82%b9%e3%83%a1/