FP三宅金蔵のお金の学校

お金にジャマされない人生を

【資産防衛】あなたのすべてが知りたい!

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 一つ一つの小さなニュースだけ見ても、気づけないのですが、それを一つの大きな流れとしてとらえると、気づくことがあります。

 私が最近感じているのは、ズバリ、国はあなたのお金に関する全てを知りたがっているということです。

 例えば、今年から始まった新NISA。

 無期限で生涯1800万もの非課税枠が与えられることで、現在たくさんのお金が流れ込んでいますが、NISA口座開設には、マイナンバーの提出が必須です。

 マイナンバーと紐づいていなかったため、今まで把握することができなかった昔の銀行口座に眠っていた定期預金も、新NISA口座に移した途端、あなたの資産として国が把握できます。

 次に、今年7月に予定されている新札発行。

 ある程度の移行期間があるとはいえ、日々の生活では使い切れない、何百兆円に及ぶタンス預金を抱えた日本の高齢者は、新札に交換するために、銀行の窓口にいかざるを得ないでしょう。

 その時書かされる提出書類には、おそらくマイナンバーの記入欄がしっかりあるはずです。

 次に、ここ最近爆発的に普及したふるさと納税

 実質2千円の負担で、豪華な返礼品がもらえるということで大人気ですが、所得が増えれば増えるほど、寄付で控除される金額が増えるというところがクセモノです。

 収入がガラス張りになっているサラリーマンを除き、今まで所得が把握しづらかった個人事業主や高齢者も、どんどん制度を使ってくれることで、きっちり所得が把握できます。 

 次に、昨年12月に国税庁から発表になった『令和4年分 相続税の申告事績の概要』。

 それによると、毎年日本で亡くなる160万の方のおよそ約1割が、相続税の対象となっています。

 実際に相続税を払うか払わないかは別として、申告に伴って、亡くなった方の全財産が国に筒抜けになってしまうのです。

 また、同時にそれを誰がいくら相続したかも分かる訳ですから、多額の現預金を相続したら、それも相続人の資産の一部としてしっかり把握されます。

 更に、相続税においては、今年から生前贈与の課税対象が、死亡前3年間から7年間まで拡大されたり、相続時精算課税に新たな非課税枠ができたりと、何からの形で相続税の申告する方は、今後更に増加が見込まれます。

 最後に、今年12月に廃止される現行の健康保険証。

 病院には誰もが行くわけですから、これをマイナンバーカードと一体化することで、誰の財布の中にも、マイナンバーカードが常に入っている状態が実現します。

 まだ発表されていませんが、マイナンバーカードによるキャッシュレス決済など、今後日常生活で、次々とマイナンバーと私たちのお金が紐づけられる機会が増えてくるはずです。

 では、国民のお金をすべて把握して、最終的に国は何をしたいのか。

 私の勝手な推測ですが、大きな目的の一つは、今後ますます膨れ上がる社会保障費を削減するため、個人の資産をベースとして、医療/介護サービスの負担割合を決めていきたいのではないでしょうか。

 現在、多額の資産を持ちながら、収入がほとんどのないため、住民税非課税世帯となって、低額の負担で医療、介護サービスを利用している高齢者が多数存在します。

 将来的には、個人の資産額で負担割合を決めて、そういった不公平な状態を解消したいのでしょう。

 近い将来、病院の窓口でマイナンバーカードをスキャンしたら、自己負担の割合も同時に表示されるのかもしれません。

 

 さらに別の目的として、私たちの保有資産に対して新たに<資産税>を課税する可能性もあります。

 現在、我々国民がお金を稼ぐ時(⇒所得税)、使う時(⇒消費税)、遺す時(⇒相続税)、と人生のあらゆる場面で何重にも課税されていますが、更にそこに、保有する時(⇒資産税)を加えれば、新たに大きな財源が確保できます。

 要は今後人口が急激に減少していく中で、国会議員や官僚など、国の統治機構やインフラを維持していくための膨大な予算を確保するため、国民一人一人から、より多くの税金を徴収したいのが本音でしょう。

 本来であれば、身の丈に合わせて、政治家や役人の数も減らしていくべきですが、それはムリな話でしょうから。

 私たちのお金を取り巻く状況は今後ますます厳しくなっていきますが、日々の小さなニュースに目を凝らしながら、自分の頭で生き残る術を考えることがますます大切になってくると思われます。