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【源泉徴収】会社に知られたくない秘密

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 突然ですが、皆さんはもしパートナーと離婚されたら、会社に報告しますか?

 毎年15万件以上のご夫婦が離婚にいたっており、皆さんの身近にもそういったケースが多いのではないでしょうか。

 

 会社に報告する必要があるかどうかは、個人のケースによりますが、一般的には報告すべき義務が発生します。

 それはなぜか? ズバリ、「源泉徴収」という国の仕組みがあるからです。

 「源泉徴収」とは、本来個人が納めるべき税金(=所得税)を、会社が計算して、毎月の給与から天引きし、毎月10日までに前月分の税金を国に納める制度です。

 日本では太平洋戦争前の1940年に、戦争のための予算を確保するため、それまで個人が納めていた所得税を、勤め先である会社に徴収させ、まとめて納税させるように導入されました。

 本来個人が納めるべき税金を会社に肩代わりさせる制度は、よほど国にとって都合が良かったのか、戦後も廃止されずに現在に至っています。

 所得税の計算では、配偶者や扶養家族の有無など、<個人的な事情>で収入から引いてもらえる控除が存在し、それを会社が計算するために、社員一人一人の<個人的な事情>を把握する必要が生じます。

 だから、本来会社とは一切関係ないプライベートな事情まで会社に報告する必要が出てくるんですね。

 ですから、もし会社に源泉徴収の義務がなく、社員個人が納税する仕組みだったら、離婚などを報告する必要がなくなります。

 個人が確定申告で納税する仕組みは、かなりの負担になりますが、私は、今後源泉徴収を利用するかどうかは個人の<選択制>にしたらいいのではと考えています。

 理由として、

 ①会社が源泉徴収や年末調整にかけるコストを大幅に削減でき、その分賃上げの原資ができる

 ②源泉徴収がなくなった分、毎月の手取り額が増え、消費者の購買意欲が高まる

 ③今は外部に給与計算をアウトソースしている会社が多く、社員の<選択制>に対応できる

 ④ふるさと納税の浸透で、個人の納税に対する意識が変わってきた上、e-taxなど、ネットで簡単に納税するインフラが出来た

 ⑤会社に余計な個人情報を伝える必要がなくなる

 以上、源泉徴収の選択制には会社、社員共に多くのメリットがあり、ぜひ導入を検討すべきと考えます。

 まあ、国にとっては、税金の未納者への対応が生じるため、絶対に導入したくない制度だと思いますが。

 ただし、もし源泉徴収の選択制が導入されたら、年に一度まとまった金額を、確定申告で国民一人一人が直接国に納税することになり、海外に比べて極端に低い納税意識が変わるはずです。

 納税意識が高まれば、国のムダ遣いにももっと厳しくなりますし、何より選挙での投票率の低さも改善されることが期待されます。

 そういえば、高齢者の投票率が高いのも、会社に任せきりの現役世代に比べて、自分自身で確定申告している人の割合が多いからかもしれません。

 ※少し古いデータですが、2008年には65~69歳の約4割が確定申告しています。