FP三宅金蔵のお金の学校

お金にジャマされない人生を

【税金】あなたの期待を裏切ります!

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 最近、税務署から巨額の税金を追徴されるニュースがいくつかありましたね。

 『連結納税制度「乱用」を認定 光通信子会社19億円追徴 東京国税局』(時事通信社

 『イニエスタら3選手、計21億円の申告漏れ 国税が「居住者」と判断』(朝日新聞

 それぞれ、数年前に納税した過去分に関して、税務署から申告漏れの指摘を受けたわけですが、かなりの時間が経っていた以上、追徴される方としては、さぞや驚いたでしょう。

 ちなみに、税務署を始め、市役所や警察など、お役所(行政)の仕事全般に共通する原則の一つに、<信義誠実の原則(信義則)>というものがあります。

 簡単に言うと、市民と役所、お互いの信頼関係を重視して、互いになるべく相手の期待を裏切らない様にするというものです。

 つまり、我々一般市民も、納税や各種届け出、交通ルールなど、役所の決めたルールをしっかり守る代わりに、行政側もなるべく我々をビックリさせるようなことをしないでねという訳です。

 今回、税務署から指摘を受けた側も、おそらく税金のプロである、顧問税理士に事前に相談して、オッケーをもらってから、安心して納税していたはずです。

 それが見事に裏切られたわけですから、この信義則の原則が破られた可能性あります。

 尚、過去には納税者の期待を裏切った、もっとひどいケースもありました。

 いわゆる「青色申告課税処分事件(昭和62年)」というものです。

 事件の概要を簡単に説明すると、個人商店である酒屋を経営していた兄弟が、兄の名前で、税務署から青色申告の承認を受けて確定申告していました。

 途中から兄が病気となったため、弟が税務署の承認を受けずに、勝手に自分の名前で確定申告を行っていた訳ですが、税務署もそれに気づかず、何年間も弟の名前で確定申告を受け付けていました。

 何年か経った後、それに気づいた税務署が、承認を受けずに弟の名前で行った青色申告は無効なので、税務上の優遇がない白色申告で納税をやり直せと言ってきたわけです。

 弟にしてみれば、税務署のミスで何年間も申告を受け付けておきながら、今更そんなことを言われても困ると裁判に訴えたわけですが、結局裁判には負けてしまいます。

 その判決の中で、裁判所は、「信義則の原則に基づき、弟の期待に応えることも大切だが、それ以上に納税者間の平等、公平を維持し、納税者の信頼を守ることの方が重要だ」と述べています。

 つまり、いくら税務署側がミスしても、納税者の信頼を守るという大義名分があれば、許されるということですね。

 そういった訳で、今後も、同様のケースで、忘れた頃に税務署から指摘を受けてビックリさせられる人は絶えないでしょう。

 それを変える唯一の方法は、税金を納めるルール(法律)自体を変える事しかありませんが、それができるのは、我々が選挙で代表を選ぶ国会だけです。

 

 国政選挙では、増税や減税といった税金の負担に関することがよく争点になりますが、そもそも税金の徴収ルールについては全く話題にもなりません。

 国民の大多数がサラリーマンであり、源泉徴収で税金を天引きされている内はそうかもしれませんが、今後フリーランスなど、働き方が多様化して、自分自身で税金を納める人が増えれば関心も高まるかもしれません。

 

 個人的には、税務署側に大きな過失があれば、納税者側の過去のミスは問われないといったルール改正が、いつかされることを期待しています。

安易な借金は命取りに

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 日銀がついに2016年から続いたマイナス金利政策を解除しましたね。

 

 今までは、極限まで下がった低金利の恩恵で、誰もが気軽にお金を借りられる環境が整っていましたが、これから徐々にそういった状況は変わっていくでしょう。

 特に、人生で最も大きな買い物となるマイホームを購入するための住宅ローンは、今後大きな影響を受ける可能性があります。

 ちなみに、そういった影響を考える際に参考になるのが、ローンの返済額を誰でも簡単に計算できる<資本回収係数表>です。

 

 

 上記の様に、期間(縦軸)と金利(横軸)から構成されるマトリックス表 となっており、実際の借入額と借り入れ期間、金利が分かれば、簡単に<年間>の返済額を計算することができます。

 例えば、現在の住宅ローンの固定10年の金利がおおよそ1%ですから、仮に1千万円を固定10年、1%の金利で借り入れた場合、上の表から、1000万円×0.1056=105.6万円が、毎年の返済額と計算できます。

 今後、仮にこの金利が3%へと上昇した場合、同じく上の表の数値(黄色箇所)から、1000万円×0.1172=117.2万円へと返済額が増加することが分かります。

 10年間トータルの返済額で比較した場合、金利1%なら、105.6万円×10年=1056万円、金利3%なら117.2万円×10年=1172万円となり、116万円(1172万円-1056万円)も返済額が増加することなります。

 尚、1千万円の借り入れで116万円の負担増ですから、3千万円の借り入れなら、単純にその3倍、348万円の増加となります。

 現在、住宅ローンを組む方の大多数が固定金利より、目先の金利がもっと安い変動金利を選択されていますが、今回のマイナス金利解除を受けて、徐々に固定金利を選ぶ方も増えてくるはずです。

 そういった返済方法を検討される際には、ぜひ上記の<資本回収係数表>を参考にしてください。

 ちなみに、以前このブログ*でも紹介した通り、個人的には、お金にジャマされない人生を送るためには、金利は払うのではなく、もらうべきだと考えています。

 <資本回収係数表>と同じく、簡単に複利効果による資産増加額を計算できるものに、<終価係数表>があります。

 

 

 同じく、期間(縦軸)と金利(横軸)から構成されるマトリックス表となっており、最初に預ける元本金額と、預入の期間、金利が分かれば、簡単に将来の預金額が分かります。

 例えば、1000万円を10年間、金利3%で複利運用した場合、10年後には、1000万円×1.344=1344万円となり、344万円(税込み)の儲けですね。

 つまり、1千万円を3%で10年間借りれば、金利を172万円払うことになり、逆に1千万円を3%で10年間預ければ、344万円のプラスになるので、その差は516万円(172万円+344万円)にもなります。

 

 今回のマイナス金利解除を受けて、今後、お金の借り手にまわるか、貸し手にまわるかで大きな差がつく時代になりそうです。 

 

*(参考記事) 24年1月21日 『金利を払うか、もらうのか』https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e9%87%91%e5%88%a9%e3%82%92%e6%89%95%e3%81%86%e3%81%8b%e3%80%81%e3%82%82%e3%82%89%e3%81%86%e3%81%8b/

亡くなった父が教えてくれたこと

 こんにちわ。FPの金蔵です。

 このブログには何度か登場していますが、昨年亡くなった父親からは、お金について、本当にたくさんの事を学びました。 

 本日はその父親の生い立ちとなぜお金について賢くなれたのか、触れてみたいと思います。

 私の父親の実家は、何百年も続く、とある地方の大地主で、戦前は広大な土地を所有しており、かなり裕福な家庭だったそうです。

 ただ、戦後は農地解放の影響で、ほとんどの土地を失った上、私の祖父はろくに仕事もせずに、残された土地を切り売りして生計を立てていたため、一気に貧しくなったそうです。

 父の兄は、長男であるという理由から、東京の大学まで行かせたもらえた一方、父は働きながら、夜学を卒業し、若しくて自分で卸業の商売を始めました。

 何のコネや親からの支援もない中、ゼロから事業を立ち上げた苦労話を、晩年よく私に語ってくれました。

 お金について、とことん苦労したからこそ、自然とお金の知識が身に付いたのだと思います。

 店の土地を担保に、銀行から多額の借り入れをして、運転資金を確保していただけに、金利については非常に敏感でした。

 まだ延滞税というものがなった頃、税金は支払期限を過ぎて払ってもなんのペナルティもないのだから、ギリギリまで支払いを先延ばしした方が良いと言っていたことを思い出します。

 当時は何のことを言っているのかさっぱり分かりませんでしたが、資金の運用効率を上げるため、支払いはなるべく遅く、回収はなるべく早くという商売の基本の事を言っていたのですね。

 また、卸業という商売柄、倉庫には大量の在庫(ストック)を抱えていましたが、ある時期から、在庫を極力減らし、注文を受けてから、問屋に仕入れに行くスタイルに変えていました。

 そういえば、お店のホワイトボードには、大きな字で「ノーモアストック(No More Stock)」と書かれていました。

 当時、常連のお客さんからは、右から左に商品を流しているだけと馬鹿にされたそうですが、在庫を抱えること、イコール資金を遊ばしていることであることを知っていたのですね。

 安易な固定費の増加にも敏感で、バブル前の最盛期でも、店の規模を拡大することには慎重でした。

 一番忙しい時で、お二人ほど従業員さんを雇っていましたが、バブル後はその方々にも辞めてもらい、母親と二人で細々と商売を続けていました。

 むかし父親の運転で実家の周辺をドライブするたびに、バブル期に店の規模を拡大させて、全財産を失った同業他社のお店の跡を教えてくれたことを思い出します。

 車や服装など、普段の生活から、見栄を張るより、実を取る人でした。

 父親の姿で最も印象的だったのは、お店に置いてあった短い鉛筆でしょうか。

 今ではあまり見なくなった短い鉛筆を使うための鉛筆補助ホルダーを愛用しており、モノを大事にしていました。

 しかも、電動の鉛筆削りで削れなくなった短い鉛筆を、小刀で更に削って最後の最後まで使い切る姿に、父親の商売の真髄を見たような気がします。

 大学卒業後、サラリーマンしか経験のなかった私は、ファインシャルプランナーの勉強を始めて、ようやくいっぱしのお金の知識を身に着けることができました。

 ただ、若いころから自営業でお金の苦労してきた父親は、私が知っている程度のことは、実地の経験で学んでいたのでしょう。

 今もし父親が生きていたら、もっと深いお金の話ができたのにと悔やまれてなりません。

 亡くなってから分かる事ですが、一見大した経験がなさそうな親でも、家庭を築き、子どもを育て上げたきたからには、お金に限らず、いろんな苦労をされてきたはずです。

 まだご両親がご存命の方はぜひいろんな話をされることをおススメします。

 きっとまだ自分が気づいていない、生きるヒントをたくさん教えられますよ。

*(以下、参考記事)

24年2月11日 『【新NISA】麦わら帽子は冬に買え』https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e3%80%90%e6%96%b0nisa/

24年2月13日 『【相続】間に合わなかった売却』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e9%96%93%e3%81%ab%e5%90%88%e3%82%8f%e3%81%aa%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%9f%e5%a3%b2%e5%8d%b42/

24年2月19日 『近所の個人商店がつぶれないワケ』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e3%80%90%e7%a2%ba%e5%ae%9a%e7%94%b3%e5%91%8a%e3%80%91%e8%a1%97%e3%81%ae%e5%80%8b%e4%ba%ba%e5%95%86%e5%ba%97%e3%81%8c%e3%81%a4%e3%81%b6%e3%82%8c%e3%81%aa%e3%81%84%e3%83%af%e3%82%b1/

その退職金もらいすぎです!

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 最近ニュースを見ていたら、『佐賀市上下水道局、7692万円納税漏れ 退職手当事務処理ミス 』というものがありました。

 ぱっと読んだだけでは、何が起きたか分かりづらいので、少し解説いたします。

 通常、退職金を受け取る際には、『退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)』を、勤務先に提出して、受取額に応じた税額を計算の上、先払いで退職金から所得税を納めなければいけません。

 もし申告書を提出しない場合、一律20.42%の所得税が引かれてしまいますが、申告書さえ提出すれば、多額の退職金控除を受けた上で、これより低い、10%程度の税率で計算された金額で済みます。

 今回の佐賀市のケースでは、おそらく退職する職員にきちんとこういった説明がされずに、本人から退職所得申告書が提出されていなかったようです。

 そうすると、本来、佐賀市上下水道局は、退職金の金額の20.42%の所得税源泉徴収して、税務署に納めなければいけないのですが、申告書が提出されていなかったにも関わらず、申告書が提出されたものとして計算された、少ない金額しか納税していなかったようです。

 退職した職員からしてみれば、申告書を提出していない以上、本来20.42%の所得税が引かれた少ない金額を受け取るべきところを、より多く退職金を受け取っていたことになります。

 今回はもらいすぎだったので、職員には直接不利益はありませんでしたが、もし逆に、退職所得申告書をきちんと提出していたに関わらず、20.42%の所得税を引かれていたとしても、受け取った方は気づけなかったかもしれません。

 ちなみに、もし退職所得申告書 を提出せずに、退職金から一律20.42%の所得税を引かれていたとしても、その年の確定申告をすれば、きちんと計算された税額との差額は戻ってきますので、ご心配なく。

 このブログでは、以前から会社が所得税を給与から天引きする源泉徴収の弊害を訴えてきましたが、結局会社におんぶにだっこで、何も分からず納税しているとこういった問題が起きるのですね。

 私は、会社員の源泉徴収は<選択制>にして、自分で確定申告して、後払いで税金を支払えるようにすべきと考えており、もしそうなっていたら、今回のような問題は起きていないはずです。

 直接多額の税金を自分で支払えば、税金の知識もおのずと身に付きますし、何より納税者意識が高まって、国の無駄遣いや政治家の裏金問題にももっと関心が高まり、投票率も上がると思います。

 現在、日本のサラリーマンの大多数は、定年後、ゼロから三つの事を勉強しなければいけません。

 一つは、年金、医療、介護などの社会保険制度、二つ目は税金、そして三つ目は資産運用(投資)ですね。

 在職中は、この全てを会社に任せきりで済んでいるのですが、退職して会社から出た途端、自己責任で全て対応していかなければいけません。

 

 特に注意しなければいけないのは、今回問題となった退職金を使った資産運用です。

 自分の銀行口座に今まで見たことがない大きな金額が一度に振り込まれると、その情報をかぎつけて、金融機関から手数料が高く、大して儲からない金融商品の勧誘電話が必ずかかってきますから。

 現役時代なら、会社が決められた利率で退職金を運用してくれたり、事前に投資に向いた商品を選んで提示してくれますが、退職後はそういったことは誰もしてくれません。

 更に、昨今被害が急増している投資詐欺やロマンス詐欺にも要注意ですね。

 いよいよ忙しい現役時代から、金融リテラシーを高めていかなければいけない時代になってきています。

※(以下、参考記事)

24年2月21日 『全てのサラリーマンのために闘った男』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e5%85%a8%e3%81%a6%e3%81%ae%e3%82%b5%e3%83%a9%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%81%ae%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ab%e6%88%a6%e3%81%a3%e3%81%9f%e7%94%b7/

24年2月8日 『【源泉徴収】会社に知られたくない秘密』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e4%bc%9a%e7%a4%be%e3%81%ab%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%82%8c%e3%81%9f%e3%81%8f%e3%81%aa%e3%81%84%e7%a7%98%e5%af%86/

24年1月16日 『確定申告のススメ』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e7%a2%ba%e5%ae%9a%e7%94%b3%e5%91%8a%e3%81%ae%e3%82%b9%e3%82%b9%e3%83%a1/

【新NISA】毎日の値動きが気になるあなたへ

 

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 今年から新NISAで投資を始めた方の中には、購入した商品の値動きが毎日気になってしょうがない方もいるのではないでしょうか?

 私も数年前に投資を始めた頃に経験があるのですが、毎日朝一でネット証券のサイトにアクセスして、評価額を確認しては、一喜一憂していました。

 人間は非常に単純な生き物で、値上がりしてプラスになると、もっと買い増ししたくなり、値下がりしてマイナスになると売り逃げしたくなります。

 私もそうやって、個別株をちょこちょこ売り買いしては、手数料や税金を入れたら、結局マイナスという状態が長く続いていました。

 特に、メディアで大きな話題になった銘柄に飛びついた時には、ほぼ間違いなくその後値下がりしていましたね。

 そういった失敗を数え切れないほど経験した後に、全世界株式や米国株式のインデックス投信を毎月積み立て購入して、あとはほったらかしにしておくのが、投資のタイパが一番良くなるということにようやく気づけたのです。

 ですから、現在、毎日株価が気になる方は、どんどんチェックして、時には一時的な衝動でどんどん売り買いしてみてもいいと思います。

 そういった経験が長い投資人生の貴重な土台になっていくでしょうから。

 ただし、欲を出して、一発退場になるような大きな金額を一度に突っ込むことだけは絶対おススメしません。

 授業料と割り切って、まずはお小遣い程度の金額で、投資を始めてみることが重要です。

 あと、単に株価の値動きを毎日チェックするのではなく、同時に以下の4つの指標も併せて確認することをおススメします。

(1)NYダウの株価

(2)為替(ドル円

(3)米国債券10年利回り(金利

(4)VIX恐怖指数(相場の強気弱気を計る指標)

 日本の株式を含めて、全世界の金融商品のほぼ全ては、世界最大の金融市場である米国の影響を多少なりとも受けますから、上記数値を確認しておけば、おおよその市場の流れが分かります。

 尚、以下のサイトなら、上記4つの数値をまとめて見れるのでおススメです。

 

『NYダウ平均株価 リアルタイム チャート 米国株 ヒートマップ』

 https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 最初は自分の持っている金融商品の値動きとの相関関係が分かりづらいですが、ある程度長期間に渡って、数値を追っていくと、何がどう動いたら、どう株価に反映されるのかが分かってくるはずです。

 そうすると、メディアのニュースやネット上の怪しい情報に惑わされることなく、自分なりの相場の方向感が持てるようになると思います。

 

 例えば、円建ての米国インデックス投信の評価額が最近下がったのは、日銀のマイナス金利解除の動きを受けて、急激に円高が進んだせいですね。

 来週行われる日銀の金融政策決定会合で、市場の予想に反して、もし金融緩和継続が決まったら、逆に円安が進んで、評価額が上がるかもしれません。

 私もまだまだ投資初心者の域を脱していませんが、少なくともこれら数値がどう動いたら、自分の保有資産の評価額にどういう影響が出るかは理解しているつもりです。

 毎日株価が気になる皆さんも、ぜひその値動きの背景を理解して、少しでも金融リテラシーを深めていってもらえればと思います。

あなたのふるさとはアマゾンですか?

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 アマゾンが来年春にもふるさと納税へ参入することを決めました。

 サービスの名称(予定)は、「アマゾンふるさと」。

 アマゾンの熱帯雨林が<ふるさと>になる日本人っているのかと思わず笑ってしまいました。

 というか、ついに外資大手が参入するに至って、制度が出来た当初の趣旨から、どんどんかけ離れていく姿に半ばあきれています。

 そもそも、2008年にふるさと納税の制度が始まった趣旨は、「医療や教育など、さまざまな住民サービスを受けて育った地方の自治体(ふるさと)を離れ、都会で働き、その地で納税している多くの人が、ふるさとへ自分の意志で恩返しするため」というものでした。

 しかし、その寄付先が納税者が生まれ育った<ふるさと>に限定されなかったことで、官製ネット通販として、間違った方向で大きく市場が拡大してしまっています。

 現在、仲介サイトに掲載された豪華な返礼品に引き寄せられて、自分の<ふるさと>とは全くかけ離れた地方の自治体へ寄付することがすっかり定着してしまいました。

 マイナンバーカードを使って、コンビニで戸籍謄本の写しも簡単に発行できる時代ですから、税務署も納税者の戸籍(ふるさと)を簡単に把握できそうなものですが。

 今更ですが、制度本来の姿に戻って、本当の自分の<ふるさと>へ寄付する正しい形へは戻せないのでしょうか。

 更によく指摘される制度の欠陥は、間に入る仲介サイトの手数料が高すぎて、寄付した金額の半分ほどしか、寄付先の自治体の手元に残らないことです。

 返礼品を提供する地場の企業に寄付金の3割のお金が入るのはいいとして、その自治体からはるか遠く離れた仲介サイトに2割もの多額の手数料が落ちています。

 日本全体でみると、本来多くの都市部の自治体に入るべき税収約1兆円の内、約2千億円が民間の仲介サイト大手4社の売り上げになっている様です。

 現在は、多数の人口を抱え余裕があることから、制度を甘んじて受け入れている都市部の自治体も、いづれ来る都市部の人口減の時代には、反対の声を上げるでしょう。

 制度の趣旨自体が当初からねじ曲げられている以上、制度の存続性も怪しく、いづれは廃止されてなくなるでしょう。

 後から振り返れば、日本の税制の歴史に、意味の分からない、おかしな名称の減税制度として名を残すことになりそうです。

 敢えて制度の良い点を挙げてみると、納税者が節税のために自らアクションを起こすことを定着させた点でしょうか。

 ただでさえ、税金や社会保険料は増えるのに、給料は増えない時代ですから、ふるさと納税を利用して、少しでも税金を取り戻そうとすることには意味があります。

 

 以前のブログ*でも書きましたが、できれば、ふるさと納税利用の際は、確定申告の手間が省けるワンストップ特例を利用するのではなく、e-taxで一度確定申告をすることを強くおススメします。

  前年の源泉徴収票を片手に、支払った社会保険料、給与から天引きされた源泉徴収税の金額を画面で入力すれば、その額の多さをリアルに感じられるはずです。

 国は、大多数のサラリーマンにそこに目を向けて欲しくないため、源泉徴収という戦時下での徴収制度を現在まで続けている訳ですから、その呪縛から自ら解き放たれるべきですね。

 あと、ふるさと納税を確定申告するメリットとして、寄付した金額マイナス2千円が直接自分の銀行口座に振り込まれる点も大きいです。

 ワンストップ特例制度では、天引きされる翌年の住民税が勝手に減るだけですから、税金を取り戻した感覚が全然違います。

 また、ふるさと納税の確定申告は、正確には還付申告といって、確定申告の時期に限らず、ふるさと納税を行った翌年1月1日から<5年間>できます。

 確定申告で税務署が忙しくなる2,3月前に申告すると、1,2か月程度ですぐにお金が返ってくるのでおススメです。

 

 以上、大きな矛盾と欠陥を抱えるふるさと納税ですが、納税者として、使えるものは何でも使って税金を少しでも取り戻すことは大切です。

 今年のふるさと納税からは、ぜひe-taxを使った確定申告(還付申告)で、自分の手で、給料から天引きされた税金を取り返す喜びを感じてもらえれば幸いです。 

*2024年1月16日 『確定申告のススメ』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e7%a2%ba%e5%ae%9a%e7%94%b3%e5%91%8a%e3%81%ae%e3%82%b9%e3%82%b9%e3%83%a1/

【資産防衛】あなたのすべてが知りたい!

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 一つ一つの小さなニュースだけ見ても、気づけないのですが、それを一つの大きな流れとしてとらえると、気づくことがあります。

 私が最近感じているのは、ズバリ、国はあなたのお金に関する全てを知りたがっているということです。

 例えば、今年から始まった新NISA。

 無期限で生涯1800万もの非課税枠が与えられることで、現在たくさんのお金が流れ込んでいますが、NISA口座開設には、マイナンバーの提出が必須です。

 マイナンバーと紐づいていなかったため、今まで把握することができなかった昔の銀行口座に眠っていた定期預金も、新NISA口座に移した途端、あなたの資産として国が把握できます。

 次に、今年7月に予定されている新札発行。

 ある程度の移行期間があるとはいえ、日々の生活では使い切れない、何百兆円に及ぶタンス預金を抱えた日本の高齢者は、新札に交換するために、銀行の窓口にいかざるを得ないでしょう。

 その時書かされる提出書類には、おそらくマイナンバーの記入欄がしっかりあるはずです。

 次に、ここ最近爆発的に普及したふるさと納税

 実質2千円の負担で、豪華な返礼品がもらえるということで大人気ですが、所得が増えれば増えるほど、寄付で控除される金額が増えるというところがクセモノです。

 収入がガラス張りになっているサラリーマンを除き、今まで所得が把握しづらかった個人事業主や高齢者も、どんどん制度を使ってくれることで、きっちり所得が把握できます。 

 次に、昨年12月に国税庁から発表になった『令和4年分 相続税の申告事績の概要』。

 それによると、毎年日本で亡くなる160万の方のおよそ約1割が、相続税の対象となっています。

 実際に相続税を払うか払わないかは別として、申告に伴って、亡くなった方の全財産が国に筒抜けになってしまうのです。

 また、同時にそれを誰がいくら相続したかも分かる訳ですから、多額の現預金を相続したら、それも相続人の資産の一部としてしっかり把握されます。

 更に、相続税においては、今年から生前贈与の課税対象が、死亡前3年間から7年間まで拡大されたり、相続時精算課税に新たな非課税枠ができたりと、何からの形で相続税の申告する方は、今後更に増加が見込まれます。

 最後に、今年12月に廃止される現行の健康保険証。

 病院には誰もが行くわけですから、これをマイナンバーカードと一体化することで、誰の財布の中にも、マイナンバーカードが常に入っている状態が実現します。

 まだ発表されていませんが、マイナンバーカードによるキャッシュレス決済など、今後日常生活で、次々とマイナンバーと私たちのお金が紐づけられる機会が増えてくるはずです。

 では、国民のお金をすべて把握して、最終的に国は何をしたいのか。

 私の勝手な推測ですが、大きな目的の一つは、今後ますます膨れ上がる社会保障費を削減するため、個人の資産をベースとして、医療/介護サービスの負担割合を決めていきたいのではないでしょうか。

 現在、多額の資産を持ちながら、収入がほとんどのないため、住民税非課税世帯となって、低額の負担で医療、介護サービスを利用している高齢者が多数存在します。

 将来的には、個人の資産額で負担割合を決めて、そういった不公平な状態を解消したいのでしょう。

 近い将来、病院の窓口でマイナンバーカードをスキャンしたら、自己負担の割合も同時に表示されるのかもしれません。

 

 さらに別の目的として、私たちの保有資産に対して新たに<資産税>を課税する可能性もあります。

 現在、我々国民がお金を稼ぐ時(⇒所得税)、使う時(⇒消費税)、遺す時(⇒相続税)、と人生のあらゆる場面で何重にも課税されていますが、更にそこに、保有する時(⇒資産税)を加えれば、新たに大きな財源が確保できます。

 要は今後人口が急激に減少していく中で、国会議員や官僚など、国の統治機構やインフラを維持していくための膨大な予算を確保するため、国民一人一人から、より多くの税金を徴収したいのが本音でしょう。

 本来であれば、身の丈に合わせて、政治家や役人の数も減らしていくべきですが、それはムリな話でしょうから。

 私たちのお金を取り巻く状況は今後ますます厳しくなっていきますが、日々の小さなニュースに目を凝らしながら、自分の頭で生き残る術を考えることがますます大切になってくると思われます。