FP三宅金蔵のお金の学校

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【相続】間に合わなかった売却

 こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。

 親から相続した財産のうち、自分が使わないもの、自分の価値観と合わないものがあれば、すぐに売って処分した方がいいと思う出来事がありました。

というのも、昨年亡くなった私の父親の財産の一部に、ジャパンディスプレイという日本の個別株が2千株ほどあり、売却が遅れたために、30万円以上の損失が発生したのです。

 そもそも、なぜ父親がこの株を買ったのか、確認するすべはもう永遠に失われましたが、いわゆる日本政府系の投資ファンド が主導した日の丸連合の会社で、2012年の会社設立以降、一度も黒字化したことがありません。

 詳しい理由は不明ですが、ジャパンディスプレイの株式は、昨年11月末より株価が一株40円から、一気に20円へと半値に暴落しており、暴落後に売却したため、多額の損失が発生したのです。

 売却が遅れた理由はいくつかあるのですが、一番の理由は証券会社での相続手続きの煩雑さでしょうか。

 証券会社は口座名義人の死亡を知った時点で、口座を凍結してしまうため、その後の取引は完全にできなくなります。

 その凍結を解除してもらうためには、気の遠くなるようなたくさんの書類の提出が必要となり、かなり手こずりました。

 証券会社に死亡のお知らせをする前に、父の口座にネットでログインしてさっさと売却すれば良かったですが、死後のバタバタで何も考えずに連絡したのが、大失敗でした。

 証券会社を含め、金融機関はお金が絡むだけに、一度身内の死亡の連絡をしてしまうと、その後の取引は一切ストップします。

 ただし、銀行預金に関しては、2019年より、預貯金の仮払い制度ができ、口座凍結後も、相続人単独で、ある程度の金額が引き出せるようになりました。

 いずれにせよ、身内が亡くなった際は、空き家にしろ、家財にせよ、株式にせよ、最小限の思い出の品々を除いて、バッサリ早めに処分していった方が傷は浅くて済みそうです。

 基本モノは時間の経過と共に価値が減少しますから、時間との勝負になります。

 ちなみに、今回の私のように、株式の譲渡で大きな損失が出た場合は、確定申告をすれば、譲渡損失を翌年以降3年間繰り越すことができ、他の黒字と相殺できます。

 例えば、株式の譲渡や配当で、今年20万円の黒字が出た場合、一旦は約20%の税率で約4万円の税金を徴収されますが、来年も確定申告すれば、持ち越した30万円の赤字と相殺され、4万円が還付金として手元に戻ってきます。

 相続に限らず、株式の譲渡で大きな損失が出た場合は、ぜひこの譲渡損失の繰越控除をご検討ください。

 尚、新NISA口座での取引は譲渡損益や配当に関して非課税になっている代わりに、損失の繰り越しや他の黒字との相殺(=損益通算)はできませんので、ご注意ください。

 このブログでも再三おススメしていますが、新NISAでは短期売買せず、全世界株式などのインデックス投信を、バイアンドホールでじっくり保有していくのが正解です。